
定期的に一定の額だけ同じ投資対象の金融商品を購入する「ドルコスト平均法」。ドルコスト平均法は、平均購入単価を抑え、リスクを分散できるため、長期的な資産形成を行う上で有効な投資手法といわれます。
今回は、ドルコスト平均法がなぜ長期の資産形成に向いているのか、仕組みや具体的な投資方法についてわかりやすく解説します。「老後2,000万円必要」といわれる中、資金の貯め方を模索中の方はぜひ、チェックしてください。
目次
ドルコスト平均法とは?
ドルコスト平均法とは、価格が変動する金融商品を、常に一定金額で、定期的に購入する投資手法です。
ドルコスト平均法を理解するにあたって最も重要なのが「定額購入」の概念です。まずは、基本からマスターしていきましょう。
- ドルコスト平均法における時間軸でのリスク分散効果
- 定額購入法(ドルコスト平均法)と定量購入法の違い
- 【一括投資と積立投資の比較】100万円でシミュレーション!
ドルコスト平均法における時間軸でのリスク分散効果
ドルコスト平均法を用いた投資において、「常に一定の金額で購入し続ける」ということは、必然的に価格が低いときは多く買って、価格が高いときは少なく買う、という状態になります。
▽ドルコスト平均法における株価の変動と購入量の変化

ドルコスト平均法では、投資を長期間続けることで、1口あたりの株価が均一になります。時間軸でのリスク分散効果があるのが、ドルコスト平均法の特徴です。
ドルコスト平均法とは、いわば「時間を味方につける投資手法」といえるのです。
投資の時間(時期)を分散したことで、1口当たりの投資価額が平準化され、高い値段のときに投資した分の値下がりが、低い値段のときに投資した分の値上がり分でカバーされた結果ということができます。
引用元:金融庁「投資の基本」
定額購入法(ドルコスト平均法)と定量購入法の違い

投資手法には、一定額購入するドルコスト平均法のほかに、一定量購入する「定量購入法」があります。
定量購入法とは「毎月1万口」といった具合に口数を決めて買い続ける投資手法です。価格に関係なく常に一定の量(口数)を購入するため、毎回違った金額で購入することになります。
定量購入法は価格変動リスクを平均化する効果がありません。よって、長期的に利益を安定化させるには、ドルコスト平均法が有効といえます。
【一括投資と積立投資の比較】100万円でシミュレーション!
ドルコスト平均法は「積立投資」の1つです。
投資は大きく、一括投資と積立投資に分けられます。
積立投資
積立型の投資信託のこと。決まった頻度で決まった金額を投資するサービス。
- 一括投資:一度のタイミングでまとまった金額で購入する
- 積立投資:定期的に一定金額で購入する
一括投資は手持ちの資金を一度に全部投資する方法で、積立投資は「毎月○万円」というように少しずつ積み立てて行く方法です。
最終的に同じ金額を投資するのであっても、一括投資と積立投資とでは結果が大きく異なることがあります。一括投資と積立投資を比べるため、「100万円を投資する」という条件でそれぞれシミュレーションしてみましょう。
- 【100万円で投資シミュレーション】一括投資の場合
- 【100万円で投資シミュレーション】積立投資の場合
【100万円で投資シミュレーション】一括投資の場合

価格変動がある100円の金融資産を、一括投資で100万円分購入したとします。
100万円全額を投資するので、1万口買えたことになります。以後の損益はこの金融資産の価格変動に委ねられます。図中の青い色をつけているゾーンは利益が出ますが、赤い点線より下の部分で推移しているときは含み損です。
運用をスタートした段階から、高額の資産を運用する一括投資は、積立投資に比べて値動きが大きくなる傾向にあります。投資する元本が大きいので初年度から得られる利益が多くなり、資産が増えるペースが早くなる場合もあるでしょう。
しかし、一括投資では、積立投資のように購入時期を分散させていないため、資産価値が下がったときの含み損が積立投資より大きくなる点に注意が必要です。
金融商品の価格が1株80円まで下落すると、20万円、50円まで下落すると、50万円の損失となります。
【100万円で投資シミュレーション】積立投資の場合

積立投資で、100万円を20万円ずつ5回に分けて、ある、価格が変動する金融商品に投資したとします。
毎回の投資金額は一律20万円と決まっているため、価格変動によって購入できる口数は変わります。それぞれの回ごとの購入口数は以下のようになります。
回数 | 価格 | 購入口数 |
---|---|---|
1回目 | 100円 | 2,000口 |
2回目 | 120円 | 1,666口 |
3回目 | 80円 | 2,500口 |
4回目 | 110円 | 1,818口 |
5回目 | 50円 | 4,000口 |
合計 | 460円 | 1万1,984口 |
5回全部の購入口数を合計すると、1万1,984口になります。全投資額である100万円を口数で割ると、1口当たり約83.4円になります。つまりイメージ図のように損益分岐点が100円から83.4円付近にまで下がります。
損益分岐点が下がったのは、100円を下回ったことが2回あったので、株を多く買えたからです。最初の価格で一括投資するよりも、時間ごとに変わる価格にあわせ積立投資をすることで、価格変動のリスクが抑えられることがわかります。
ドルコスト平均法のメリット
ドルコスト平均法のメリットは豊富です。おもなメリットは下記の8つ。
- 手間がかからず投資初心者の人にもおすすめ
- 継続的な投資をすることができる
- 長期の運用(20年以上)であれば負ける可能性が低い
- 高値掴みのリスクが少ない
- 開始タイミングを悩まなくてよい
- 日々の価格変動に一喜一憂する必要がない
- 投資初期にまとまった資金がなくても大丈夫
- 急落時に狼狽売りをしづらくなる
1つずつ解説します。
手間がかからず投資初心者の人にもおすすめ
投資というと「上がった」「下がった」といった相場の展開を予想しなければならないと考えている人は多いと思います。確かに株価を予想してピタリと当たれば大きな利益を手にすることができますが、初心者にとってはハードルが高く、負けるリスクのほうをどうしても深刻に考えてしまいます。
ドルコスト平均法は価格変動リスクを時間軸の分散によって抑える手法なので、そもそも価格を予想する必要がありません。毎月いくらずつ積み立てていくのか、何を買うのか、そしてどれだけの期間続けていくのかを決めるだけです。
たとえ価格が下落することがあっても多く買えるので、むしろ投資家にとって有利になるのがドルコスト平均法です。そのため、初心者も難しいことを勉強する必要がありません。
継続的な投資をすることができる
投資で重要なのは、継続性です。一時的な価格変動で一喜一憂するのではなく、長期的な目線で粛々と一定額ずつ積み立てていくことがセオリーです。最大の戦略は「続けること」なので、短期的な相場の変動に振り回されることなく継続的に取り組むことができます。
投資というと、デイトレーダーの人みたいに、購入した株式の価格が上がったらすぐに売るような、頻繁に売買するイメージでした! 日中は仕事なので私には投資は無理だと思ってたけど、長期投資であれば、私にもできるかも。
引用元:日本証券業協会「安心して投資するための3つのコツ!」
日本証券業協会の公式サイトでは、投資の基本として「長期」「積立」「分散」を挙げています。投資と言うと、多くの人は相場の変動に強く影響されると想像するかもしれませんが、ドルコスト平均法はこうした考え方とは対極にあるようなコツコツ型の投資です。
長期の運用(20年以上)であれば負ける可能性が低い
ドルコスト平均法を理解するにつれて、購入回数を多くすればするほど価格変動のリスクを抑えられることにお気づきかと思います。単純に購入回数を多くすることも有効ですが、最も効果的なのは購入期間を長くすることです。
金融市場は常に変動しており、投資対象の金融資産も価格が上がったり下がったりしています。短期的に回数を増やすこともリスク分散効果がありますが、それよりも期間を長くして相場と向き合うほうが効果が高くなります。
ドルコスト平均法では価格が下がったときに多く買うことができるため、投資期間を長くするほうが価格の安い局面に遭遇しやすく、多く買えるチャンスが増えます。
高値掴みのリスクが少ない
安いときに多く買い、高いときには少なく買うのがドルコスト平均法です。これが意味するのは、相場の典型的な失敗パターンである高値掴みを防ぐ効果です。
人間心理として購入しようとしている金融資産の価格が上昇していると勢いを感じ、「まだまだ上がるのではないか」と考えて、買いたい気持ちが強くなります。そうして買ったものの、それが天井近くの高値だったという失敗例は枚挙にいとまがありません。
ドルコスト平均法は、人間的な感情を入れることなく粛々と一定額分ずつ購入するので高いときには多く買えず、結果として高値掴みを防いでくれます。
開始タイミングを悩まなくてよい
安いときに買って高くなったら売る、というのは株式などさまざまな投資の基本的な利益モデルです。信用取引やFXなどでは売りからのエントリー(空売り)もあるので、高いときに売って安くなったら買い戻すといったことも可能ですが、どちらにしても売買のタイミングを見極めなければなりません。
信用取引
現金や株式、投資信託を担保として証券会社に預けることにより証券会社からお金や売買に必要な株式を借りて行う取引。
これだと投資初心者にとってハードルが高くなってしまいますが、ドルコスト平均法は開始のタイミングを見極める必要がありません。仮に始めるときが高値圏であっても、ドルコスト平均法では少なく買うことしかできないので高値掴みをすることもありません。いつでも始められるのは大きなメリットです。
日々の価格変動に一喜一憂する必要がない
一括投資で「全力買い」をしたら、その後の価格推移が気になってしまうでしょう。少しでも価格が下がって含み損が出れば不安が大きくなりますし、逆に価格が上がったときには利益確定のタイミングを見極めようとしてソワソワしてしまいます。
このように価格変動で一喜一憂してしまうのは、価格変動によるリスクが目の前にあるからです。ドルコスト平均法では価格が下がったとしても多く買えるチャンスなので不安になることもなく、精神衛生上も負担が少ない投資法と言えます。
投資初期にまとまった資金がなくても大丈夫
ドルコスト平均法は一括投資ではないので、最初に投資したい金額を全額用意する必要はありません。仮に全額の資金があったとしても複数回に分けて購入することになるので、最初にまとまったお金があってもあまり意味がありません。
投資を始めたいけどまとまった資金を用意するのは難しいという人は多いと思いますが、ドルコスト平均法はむしろそのほうが好都合です。毎月無理のない金額を一定額ずつ積み立てて、資産の形成を目指します。
配当や分配金が出る金融資産を購入する場合は、その収入を再投資するのが理想です。そうすることで複利効果が生まれ、加速度的に資産が増えていきます。
複利効果
複利効果とは、運用で得た収益を当初の元本にプラスして再び投資すること
再投資
分配金を使って、同じ投資信託商品を買い付ける
急落時に狼狽売りをしづらくなる
「損をしたくない」という人間心理はとかく、臆病な投資行動を生みます。狼狽売りといって価格が急落しているときに「もっと下がったら大変だ」とばかりに慌てて売ってしまうのは、その代表格です。
相場の格言の一つで、相場の急落や悪材料が出たことなどに動揺して、あわてて売り注文を出す投資行動をいう。
引用元:野村證券「証券用語解説集」
ほかにもプロスペクト理論といって、少しでも利益が出るとその利益を確定しておかないと落ち着かなくなり、慌てて利益を確定してしまう投資家心理も有名です。
プロスペクト理論により、従来の投資効用理論では説明のつかない投資家の判断行動が現実に即した形で解明された。たとえば、投資家は収益よりも損失の方に敏感に反応し、収益が出ている場合は損失回避的な利益確定に走りやすい。一方、損失が出ている場合はそれを取り戻そうとしてより大きなリスクを取るような投資判断を行いやすいとされる。
引用元:野村證券「証券用語解説集」
こうした人間心理の弱さによって本来得られる利益を逸失したり、逆に損失を拡大させたりすることはよくあります。ドルコスト平均法は人間の感情が入り込まない機械的な投資なので、これらの問題と無縁でいられます。
ドルコスト平均法のデメリット
盤石に見えるドルコスト平均法ですが、もちろんデメリットもあります。ここではデメリットを7つの項目で解説します。
- 狙ったタイミングでの投資はできない
- 手数料負担が大きくなりやすい
- 結果が出るまでには時間がかかる
- 大きなリターンは期待できない
- 価格が上昇し続けた場合、一括投資のほうが有利になる
- 最終的にマイナスになってしまうこともある
- 自動積立に対応していない場合、人的ミスが起きやすい
狙ったタイミングでの投資はできない
相場の動きを予測してタイミングを狙い、見事に的中すれば大きな利益を手にすることができます。しかしドルコスト平均法はあえて相場を予想しない投資法なので、タイミングを狙う投資には不向きです。
もっとも、そのおかげでいつ始めたとしても同様の効果が得られ、価格変動のリスクを抑えることができるのですから、このデメリットはメリットの裏返しです。
手数料負担が大きくなりやすい
一括投資だと金融資産を購入する回数が最初の1回だけなので、手数料を負担する回数も1回だけです。しかしドルコスト平均法はあえて購入回数を多くするため、その都度手数料がかかることになります。
1回当たりの手数料が微々たるものだったとしても、長期間になるとバカにできない金額になることもあるでしょう。
この問題については、株や投資信託などの購入手数料を銘柄や口座選びで無料にしたり、安く抑えたりすることもできます。長期目線で積立投資を考えている人はコストもしっかり精査したいところです。
結果が出るまでには時間がかかる
ドルコスト平均法は少なくとも5年、10年といった時間軸で取り組む投資法です。そのため短期で利益を上げたい投資家には適していません。たまたま積立投資を始めたときが相場の下落局面であれば含み損を抱えることもあるので、長い目で結果を求めていく必要があります。
むしろ価格の下落局面は多く買えるチャンスと捉えて粛々と買い続けるのが、ドルコスト平均法で最も成功できる思考です。結果が出るまで時間がかかって当然、そんなものだと考えるようにしましょう。
大きなリターンは期待できない
投資はリスクとリターンが常に表裏一体で、同じレベルになります。リターンが大きな投資はリスクが大きく、失敗する確率が高くなります。ドルコスト平均法はリスクを抑えることができる手法なので、その反面リターンも少なくなります。
しかし、投資は勝つことよりも負けないことが重要です。負けない投資を続けているからこそ勝てるチャンスが生まれ、長期的な目線で資産を増やしていくことができます。
大きなリターンを狙ってこそ投資、と考える人は、ドルコスト平均法による積立とは別に株やFXといったハイリターン投資に取り組んでみるとよいでしょう。
価格が上昇し続けた場合、一括投資のほうが有利になる
相場は水物で未来を完全に予想することは不可能です。その不確実性に対するリスクヘッジとしてドルコスト平均法があるわけですが、相場が一方的に上昇する局面の場合、ドルコスト平均法は不利になります。
この場合、最初に一括投資をしたほうが価格上昇による利益(キャピタルゲイン)を得られるため、投資をする金融商品の性質によって使い分けるのが理想です。
一方向に進みやすい金融商品よりも、上がったり下がったりを繰り返す性質の商品のほうがドルコスト平均法に適しています。
最終的にマイナスになってしまうこともある
個人投資家の強い味方であるドルコスト平均法ですが、万能ではありません。相場展開によってはトータルでマイナスになってしまう可能性もあります。
最もありがちなのは、相場が右肩下がりに下落しているパターンです。相場が下落している局面は多く買えるメリットがありますが、あくまでも下落したあとで相場が回復して値上がりすることが前提です。
一方的に下がったままだと多く買えるものの、資産そのものの価値が下がってしまうのでその時点でやめるとマイナスになってしまいます。
自動積立に対応していない場合、人的ミスが起きやすい
ドルコスト平均法の意外な盲点として知っておきたいのが、人為的なミスです。毎月決まった日に同じ金融資産を買い続けるというのは買い忘れなどのミスが起きやすく、そのミスによって積立投資そのものが成り立たなくなってしまうおそれもあります。
ドルコスト平均法は価格の上下を平均化しながら買い進めるものなので、買い忘れが頻発すると平均化の効果が薄れてしまうのです。
それを防ぐために有効なのが、証券会社に設けられている自動積立機能です。最初に設定しておけば自動的に買い続けてくれるので便利ですが、口座の残高が足りないと購入できないため、残高には注意が必要です。
ドルコスト平均法を実践するためにおすすめの証券会社
ドルコスト平均法による資産形成を成功させるには、証券会社選びがとても重要です。ここでは以下の主要なネット証券を紹介します。
- 楽天証券
- SBI証券
- マネックス証券
- auカブコム証券
- GMOクリック証券
- 松井証券
- DMM.com証券
楽天証券

オンラインショッピングモール大手の楽天市場と同じ楽天グループの証券会社です。ネット証券の大手として高いシェアを有し、斬新なサービス展開にも定評があります。
ドルコスト平均法では投資信託の積立をするケースが多く、投資信託の取り扱い本数は選択肢を広くする意味でも重要です。また、楽天証券はノーロード投信といって買付手数料が無料の投資信託がとても多く、1,000本以上の取り扱いがあります。

021年のJ.D.パワー調査による顧客満足度調査において、個人資産運用部門で1位になった実績もあり、有力な選択肢の1つと言えます。

楽天ポイントも貯まる!
楽天証券は楽天グループの証券会社なので、楽天ポイントが貯まるのもメリットです。
楽天証券では、お取引やご家族・お友達紹介プログラムなど各種キャンペーンでもポイントが貯まります!
引用元:楽天証券「ポイントプログラム」
楽天証券には株式取引や投信積立、また月末の投信残高に応じてポイントが付与されるシステムがあります。
ドルコスト平均法によって投資信託を積み立てていくと、必ず残高が増えていきます。その残高に応じて毎月ポイントがもらえるのは、積立派にとってかなり有利な制度と言えます。
しかも楽天ポイントはオンラインショッピングで使えるだけでなく、「楽天経済圏」と呼ばれる楽天系のサービスで現金と同様に使えるので、利用価値が高いのもうれしい点です。
SBI証券

SBI証券は個人の国内株取引シェアがナンバーワンで、とても人気の高い証券会社です。人気の理由はたくさんありますが、業界最安値水準の手数料や取扱商品の豊富さ、さらには高性能の取引ツールなどが挙げられます。
手数料が安いことは、多くの回数にわたって金融資産を買い続けるドルコスト平均法においてとても重要です。しかもSBI証券は投資信託や株式などの積立機能があるので、うっかり買い忘れる心配がありません。
国内の資産だけでなく、アメリカの株式やETFを自動積立できる機能もあるので、アメリカ株などでドルコスト平均法を生かしたい人にもおすすめです。
ETF
証券取引所に上場し、株価指数(「東証株価指数(TOPIX)」など)に代表される指標への連動を目指す投資信託で、「Exchange Traded Funds」の頭文字をとりETFと呼ばれています。

人気、手数料ともにNo.1!
SBIの高い人気にはもちろん理由があります。手数料が業界最安値であることが最も大きいと思われますが、それ以外にも口座の機能が豊富などの理由から、さまざまな用途の人に適している証券会社と言えます。
ドルコスト平均法を生かした積立投資をする人にとって便利な自動積立機能や、クレジットカード決済による自動積立など、利用者のニーズを幅広くカバーしている印象があります。

マネックス証券

大手ネット証券の一角であるマネックス証券も、ドルコスト平均法を生かした積立投資に適した証券会社です。積立投資の投資先として定番となっている投資信託の取り扱い本数が多く、さらに初心者が投資信託を選びやすくするためにマネックス証券が厳選した「セレクトファンド」が紹介されています。
ファンド
投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品です。
優良銘柄を厳選した「セレクトファンド」
引用元:マネックス証券「コツコツ積立投資」
マネックス証券が取り扱っている1,000銘柄以上のラインアップの中から運用実績、コストや商品の独自性など多面的に評価し、長期投資に適した銘柄を「セレクトファンド」として、ご紹介しています。
少額から始められることも、投資初心者にとって重要なことです。マネックス証券は投資信託の積立を100円から始めることができるので、資金が少ないもののまずは始めてみたいというニーズに応えています。

豊富な米国株取扱数
今でこそ米国株は日本の個人投資家にも人気ですが、マネックス証券は今のように人気が高まる前から米国株に力を入れてきました。2022年1月時点での米国株取扱数は4,573銘柄で、全部で6,000銘柄ほどある米国株の大多数です。
また、マネックス証券では米国株の自動買付サービスも行っており、ドルコスト平均法で米国株を積立投資したい人にも最適です。自動積立なのでうっかり買い忘れることがなく、米国株の成長力と高配当を資産形成に役立てることができます。

auカブコム証券

ネット証券大手のカブドットコム証券は三菱UFJグループの証券会社です。そのカブドットコム証券が通信大手のauとコラボレーションして生まれたのがauカブコム証券です。
ドルコスト平均法を活用したい投資家にとって大きな特徴は、投資信託の購入手数料が全銘柄無料であること、毎月100円から始められることなどが挙げられます。しかもほとんどの投資信託が自動積立に対応しているので、投資信託の積立をしたい人に最適です。

積立とは直接関係ありませんが、自動通知サービスが充実しているのもauカブコム証券の特徴です。特定の銘柄に対して条件を設定しておくと、設定価格以下になったときなどに通知を受けられます。
専門性の高い分析ができる
投資初心者にとってはあまり関係ないかもしれませんが、auカブコム証券の取引ツール「EVERチャート」は性能がとても良く、専門性の高い分析もできることに定評があります。
チャート分析は本格的な投資に欠かせない技術です。テクニカルインジケーターと呼ばれる分析ツールを66種類も実装しているので、さまざまな手法によるテクニカル分析に対応しています。
本格的な投資家としてステップアップをする際は、auカブコム証券の「EVERチャート」が強力な武器となるでしょう。
GMOクリック証券
GMOグループの証券会社として、多彩な投資商品を取り扱っているのがGMOクリック証券の特徴です。現物株や投資信託だけでなく、FXやオプション取引、CFDなど、個人投資家が投資できる商品はすべてそろっているといってもよいでしょう。
GMOクリック証券にもドルコスト平均法を生かせる自動積立サービスがあります。投資信託が対象で、毎月100円から始めることができます。
ユニークなのは、同じGMOグループの銀行であるGMOあおぞらネット銀行にも口座を開設して自動入金の設定をすると、MOクリック証券の口座に残高がなくても銀行側に残高があればそこから自動入金をして積立投資をしてくれます。これなら証券口座の残高不足による買い忘れも防ぐことができるので、うっかりミスが心配な人におすすめです。

便利なアプリから簡単投資
GMOクリック証券は、GMOグループの証券会社です。GMOグループはIT企業から始まった企業グループで、今もグループ内には多くのIT企業があります。その強みを生かして、GMOクリック証券は取引ツールやアプリがとてもよくできています。
株取引用の「はっちゅう君」「スーパーはっちゅう君」をはじめ、FX取引用の「はっちゅう君FXプラス」、チャート分析に特化した「プラチナチャート」など、それぞれの用途に合わせて独自のツールやアプリが提供されているのもGMOクリック証券らしい点です。

松井証券
松井証券は1918年創業で、すでに100年以上の長い歴史をもつ証券会社です。もちろん古い会社だからといってサービスが古いわけではなく、さまざまな日本初を世に送り出してきた証券会社としても知られています。
松井証券は、大正7年創業、100年以上の歴史を持つ老舗ながら、日本で初めて本格的なインターネット取引を導入した証券会社です。
引用元:松井証券「松井証券からのメッセージ」
年齢によって手数料体系が変わるのも、松井証券のユニークな特徴です。25歳以下の人は現物株取引の手数料がすべて無料になるので、若い人には特にオトク感が多い証券会社と言えるでしょう。
松井証券には投資信託の自動積立サービスがありますが、特徴的なのは「投信工房」です。ロボアドバイザーが顧客に最適な投資信託の組み合わせを提案してくれるので、投資初心者で何を買うか迷ったときには大いに参考になりそうです。
最安水準の手数料
手数料が業界最安値水準であることは、松井証券を利用するうえで要注目です。25歳以下の人はすべての現物株取引手数料が無料になることはユニークですが、他にも投資信託の購入手数料もすべて無料です。
取引手数料
取引が成立した際に金額に応じてかかる手数料。取引が成立しない場合には手数料はかからない。
投資信託で積立投資をする場合、毎回の購入手数料が無料ということは積立投資のコストが一切かからないことを意味します。手数料が積み上がることが気になる人は多いと思いますが、松井証券であればその心配はありません。
DMM.com証券
映像配信サービスをはじめ、多角的なサービスを提供しているDMM.comグループは、DMM.com証券などの金融サービスにも力を入れています。DMM.com証券の名前を聞きなれない人もいるかもしれませんが、株やFX、CFDなど幅広い金融商品を取り扱っている本格的な証券会社です。

ドルコスト平均法による積立投資とは直接関係ありませんが、「DMM BANUSY」というユニークなサービスがあります。競走馬のファンド取引ができるもので、小口化された馬主の権利を購入することで競走馬の一口馬主になることができます。
DMMバヌーシーは、競走用馬の成長を見守り、喜びを分かち合える感動共有型のファンドサービスです。出資募集馬のラインアップには有力種牡馬の産駒や、GIホースの近親などが含まれており、出資の口数に応じて賞金などの分配を受け取ることができます。
引用元:DMM.com証券「DMMバヌーシー」
投資信託の自動積立などのサービスはありませんが、FXやCFDといったデリバティブ系の商品に強いので、これらの投資にも進出したいと考える人におすすめです。
最短即日取引開始できるスピーディーさ
DMM.com証券には、取引開始までのスピードがとても速いという特徴があります。公式サイトにある申し込みフォームから口座開設を申し込み、専用のスマホアプリで本人確認書類をアップロードすれば、最短で即日のうちに取引可能になります。
ネット証券といっても口座開設までには少なくとも数日かかるところがほとんどです。その点においてDMM.com証券のスピーディーさは目を引くものがあるので、今すぐ投資を始めたい人には有望な選択肢となります。
ドルコスト平均法で運用する商品の選び方
ドルコスト平均法で運用する金融商品には、いくつかの選択肢があります。どれを選択するかは個々の投資家の考え方や好みがあると思いますが、選ぶ際はそれぞれの特徴を知っておく必要があります。
ここでは4種類の金融商品について、概要と特徴を解説します。
- 投資信託
- ETF(上場投資信託)
- 変額保険
- 外貨建て保険
投資信託
投資家から集めた資金を用いてあらかじめ設定したテーマや投資先で運用し、その利益を購入者に分配するのが投資信託です。個人投資家本人が投資をするのではなく、運用のプロであるファンドマネージャーが行うため、初心者や投資の知識がない人でもすぐに始められます。
たとえば株式運用型の投資信託の場合、複数の銘柄で運用しているので投資信託を保有するだけでリスクの分散効果があります。また、成績が良好な投資信託で積み立てをすれば大きな投資リターンが得られる可能性もあります。
証券会社の多くは投資信託の自動積立サービスを行っているので、この仕組みを利用すれば自動的にドルコスト平均法による積立投資が可能です。
ETF(上場投資信託)
ETFとは「Exchange Traded Funds」の略で、投資信託のなかでも証券取引所に上場している投資信託の銘柄群のことです。
たとえば、ETFの代表的な商品として、「東証株価指数(TOPIX)」に連動するETFがあります。TOPIXとは、東京証券取引所によって発表される、東証第1部の全銘柄の動きを反映した株価指数のこと。このTOPIXに連動するETFは、TOPIXの値動きとほぼ同じ値動きをするように運用されます。つまりこのETFを保有することで、TOPIX全体に投資を行っているのとほぼ同じ効果が得られます。
引用元:一般社団法人投資信託協会「ETFの仕組み」
投資信託協会の解説にあるように、ETFは株価指数など市場の指数と連動するように運用されていることが大きな特徴です。TOPIXでは東証1部の全銘柄に投資しているのと同じ効果が得られるように、日経平均株価と連動するETFだと日経平均株価を構成する225銘柄に投資している効果が得られます。
投資信託のなかでも上場しているため取引しやすく、また信託報酬と呼ばれる運用の手数料も全体的に安いといったメリットもあります。
変額保険
変額保険とは、生命保険の一種です。生命保険は本来、被保険者が死亡したり、高度障害の状態になったりしたときに保険金が出るというリスクヘッジ商品ですが、変額保険は死亡などのリスクに備えながらドルコスト平均法による資産形成ができる商品です。
変額保険の何が「変額」なのかというと、保険金や解約返戻金です。通常、生命保険は死亡保険金や満期時の返戻金があらかじめ決まっています。一方、変額保険は運用実績によって保険金や解約返戻金が変動するため、投資信託などで積立投資をするのと同様の効果が得られます。
あくまでも保険商品なのでリスクヘッジが主目的ですが、リスクに備えながらドルコスト平均法を生かした積立投資をしたい人に最適です。
外貨建て保険
日本は長らく超低金利状態が続いているので、日本国内で運用してもお金はなかなか増えません。それは個人だけでなく保険会社などの機関投資家にとっても同じです。もっと金利の高い外国で運用することで高い料率を目指すのが、外貨建て保険です。
外貨建てなので、為替リスクがつきまといます。そこで毎月少しずつ積立投資をすることによって為替リスクを平均化するドルコスト平均法が成り立ちます。為替には回帰性といって大きなレンジの中を上下している特性があるので、長期で見るとドルコスト平均法の有効性が高くなります。
ドルコスト平均法で運用する銘柄を選ぶ際のポイント
ドルコスト平均法を味方につけながら積立投資をするには、どんな銘柄を選ぶとよいのでしょうか。特に重視したい3つのポイントは、以下のとおりです。
- 長期的に上昇が見込める銘柄を選ぶ
- インデックスファンドを選ぶ
- 手数料が安いものを選ぶ
長期的に上昇が見込める銘柄を選ぶ
あまりにも一方的な値動きをする銘柄はドルコスト平均法に不向きで、長期的に緩やかな右肩上がりをしているような銘柄が理想的です。一時的な下落はあっても構いませんが、最終的に元の上昇トレンドに戻ってくるような値動きをしているものがよいでしょう。
成長性や将来性の観点では、米国株に関連する投資信託やETFなどがおすすめですが、もちろん日本株の投資信託やETFでも効果を見込むことができます。これらを軸に選んでみてはいかがでしょうか。
インデックスファンドを選ぶ
投資信託には、インデックス型とアクティブ型があります。インデックスとは「指数」という意味で、株価指数など金融市場にあるさまざまな指数と連動するように運用されています。
アクティブ型は、インデックス型が連動を目指している市場の平均値ではなく、それを上回る運用成績を目指します。優秀なファンドであれば市場の平均を上回る高い成績を上げていますが、長期にわたって好成績を続けているアクティブファンドはごく少数です。
アクティブファンド
ファンドマネージャーが投資商品を運用する投資信託です。
その点、インデックスファンドは市場全体に投資をするのと同じ効果が得られるのでリスクの分散効果が高く、市場全体が成長することで資産を増やしていくことができます。
インデックスファンド
株価指数などマーケットの指標に連動して運用する投資信託です。
ドルコスト平均法による積立投資では、インデックス型のファンドを選ぶのが無難です。
手数料が安いものを選ぶ
積立投資はどうしても購入回数が多くなるため、その都度手数料とのかかわりが生じます。わずかな手数料の差でも、それが積もると大きな差になるので、購入手数料にはシビアでありたいところです。
理想的なのは手数料が無料であることですが、そうでなくても少しでも手数料が安い証券会社を選びましょう。同じ銘柄を複数の証券会社で取り扱っていることは多いので、同じものがあれば手数料の安いところを優先するべきです。
ネット証券は手数料の安さが魅力ですが、手数料体系が複雑に見えることもあります。積立投資をしようと考えている金融商品の手数料について、しっかり精査してください。
ドルコスト平均法の活用方法
ドルコスト平均法をより確かなものにして強い味方とするには、リスク分散の概念をしっかり理解しておく必要があります。ドルコスト平均法は時間軸による分散投資の代表的な手法ですが、投資にはそれ以外にもリスクを分散できる概念があります。
そこで、時間軸による分散だけではなく他の分散も行う必要性について解説します。
- 時間分散だけではなく他の分散も行う
- 運用状況を定期的に確認すること
時間分散だけではなく他の分散も行う
分散投資と聞くと、1つの金融商品だけでなく複数の金融商品に分散して投資をすることだと理解している人は多いでしょう。もちろん正解ですが、それは「資産の分散」に該当します。
分散投資には、ドルコスト平均法で実現できる「時間の分散」や「投資対象国の分散」、「通貨の分散」などがあり、これらの分散投資を組み合わせることで分散効果がさらに高くなります。
ドルコスト平均法はとても優秀なリスク管理法ですが、万能ではありません。他の分散も組み合わせてリスク分散効果を高めるためにも、4つの分散を理解しましょう。
4つの分散【時間の分散】
時間の分散は、この記事で解説しているドルコスト平均法で実践することができます。価格変動がある金融商品には、購入した資産価格の逆行による損失のリスクがあります。現物株であれば購入後の下落が、逆行のリスクです。
ドルコスト平均法で定期的に一定額分ずつ購入し続ければ、それぞれの局面での価格で購入するため、購入価格は平均化されていきます。継続する期間が長くなればなるほど時間の分散効果が大きくなるため、ドルコスト平均法は10年、20年といったスパンで取り組むのがセオリーです。
4つの分散【資産の分散】
資産の分散も、リスク管理において有効です。投資対象には株、外貨、債券、不動産、商品、暗号資産などさまざまな種類があります。これらはそれぞれ別の要素や理由によって価格が変動しているので、特定の投資対象だけでなく横断的に資金を分散しておくと、リスクに強い投資が可能になります。
たとえば、株価と金(ゴールド)の価格には逆相関があるといわれています。逆相関とは、株価が上昇すれば金価格は下がり、その逆も然りという関係です。株はリスク資産といって積極的にリスクをとる投資マネーが集まりやすい一方で、金は安全資産なのでリスクを好まない投資マネーが集まる傾向があります。
つまり、市場の環境が押せ押せムードになっているときは株価が上がる一方で金価格が下がり、市場のムードがリスクを好まない安全志向になると株価が下がって金価格が上がるというわけです。
このように性質が異なる資産に分散投資をしておくと、投資全体のリスクが緩和されます。
4つの分散【地域の分散】
地域の分散とは、異なる国や地域に投資先を分散させることです。日本だけに投資するのではなく米国や新興国などにも投資をするのも、地域の分散です。
世界の金融市場は主に先進国と新興国に分けられます。先進国は安全な投資先である一方で投資の利回りが低く、新興国はリスクが高いもののリターンも高いのが一般的な位置づけです。
そこで安全に運用する資産と積極的にリスクをとって運用する資産を分けて、それぞれの国や地域に投資をすることで多層的な投資が実現します。
4つの分散【通貨の分散】
通貨の分散は、地域の分散と似た考え方です。FX投資をしている人はわかると思いますが、世界には多くの通貨があり、それぞれ特有の要素がかかわり合いながら価格が変動しています。
そこで、特定の通貨だけではなく複数の通貨にまたがって投資をするのが通貨の分散です。日本円だけでなく、米ドルやユーロといった先進国通貨、さらに高金利で知られる南アフリカランドやメキシコペソといった新興国の通貨を組み合わせると、リスクに強くリターンも狙えるポートフォリオ(資産構成の内訳)になります。
運用状況を定期的に確認すること
ドルコスト平均法は短期投資ではなく、長期目線での投資です。そのため、長い投資期間の間にはさまざまなことが起きます。さまざまな市場環境を経験することになるので、運用状況の定期的なチェックを忘れないようにしましょう。
自動積立など自動的に投資ができるサービスを利用していると、チェックをまったくせずに放置してしまうことがありますが、それだと「異常」を早期発見できません。
自動積立は放置しているくらいがちょうどいいという意見もありますが、大きな損失を抱えるようなことがあっては本末転倒です。少なくとも1ヵ月に1回は運用状況をチェックするとよいでしょう。
ドルコスト平均法で毎月いくら買えばいいの?
ドルコスト平均法は続けることが大切だと述べてきましたが、根本的な問題として「毎月いくら買うべきか」という疑問をまだ解決していません。
無理のない金額であればいくらでも問題はありませんが、税金面での優遇制度があるのでそれを1つの目安とするのがよいかもしれません。優遇制度は、2つあります。
- まずはつみたてNISAを活用しよう
- 余裕があればiDeCoも活用しよう
まずはつみたてNISAを活用しよう
積立投資をするのであれば、毎年一定額までの非課税枠があるつみたてNISAをまずは検討するべきでしょう。つみたてNISAでは毎年40万円までの投資で得られた利益に対して非課税になります。毎年40万円の上限を目安にするのであれば、40万円を12で割った3万3,333円が毎月の投資額目安になります。
NISA
毎年120万円の非課税投資枠が設定される少額投資非課税制度。株式・投資信託等の配当・譲渡益等が非課税対象になる。
もちろんこれはつみたてNISAによる非課税枠の上限であって、超える金額を積み立てても構いません。逆に下回る金額でも問題はありません。
ただし、つみたてNISAは非課税枠を残しても翌年に繰り越しはできないので、非課税枠を目いっぱい使ったほうがメリットは大きくなります。
つみたてNISAとは
長期・積立・分散は、投資を成功させる3大要素です。それを多くの人が取り組めるように国が設けたのが、つみたてNISAです。NISAはそもそも投資の非課税枠を設ける制度ですが、つみたてNISAはその積立投資版です。
つみたてNISAとは、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
引用元:金融庁「つみたてNISA」とは
つみたてNISAの対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されており、投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています。
非課税制度
NISA口座では5年の間、年間120万円の範囲内で購入した金融商品から得た利益に税金がかからない。この非課税措置を通じて一般の個人に幅広く資産形成の機会を提供すること、および、家計から企業への資金供給を促進し、企業の成長をサポートすることを目的としている。限度額を年間120万円とすることで富裕層に限らず、個人を幅広く対象としています。
新規投資額で年間40万円を上限として、その投資による利益が非課税になります。ちなみに課税されると20.315%の税率なので、それが無税になるのは大きいでしょう。
期間は最長20年間です。毎年40万円なので20年間活用すると、総額で800万円分の非課税枠があります。
余裕があればiDeCoも活用しよう
積立投資に適した非課税優遇制度には、つみたてNISAと並んでiDeCo(イデコ)があります。iDeCoは個人型確定拠出年金のことで、任意で加入することで自分専用の年金を運用し、老後にそれを受け取る制度です。
公的年金だけでは老後の生活が不安という人は多いでしょう。iDeCoを活用して自分専用の年金を上乗せすれば老後の安心感が得られます。備えをするための投資で一定額まで非課税になるのですから、「老後に備える」ことに特化するのであればとてもメリットは大きいでしょう。
iDeCoとは
iDeCoは現役世代のうちに対象となる投資信託などを積み立てて、その元本と運用益を合計したお金を60歳になったら一括もしくは年金として受け取ります。60歳にならないと受け取りができないため、iDeCoは老後資金を用意するための制度であることがわかります。
つみたてNISAは60歳にならなくても引き出すことができるため、「老後」に特化するのであればiDeCoのほうが適しています。
もちろんつみたてNISAとiDeCoの両方を利用することができるので、つみたてNISAの年間40万円枠よりも多くの積立投資をしたい人にとっては、有力な選択肢になるでしょう。

ドルコスト平均法についてまとめ
個人投資家にとって頼もしい味方であるドルコスト平均法について、基本から実践する方法、おすすめの金融商品まで、さまざまな角度で解説してきました。
長期・積立・分散は投資で成功するために欠かせない3要素です。ドルコスト平均法はこの3つすべてを反映できる投資法なので、多くの人が実践することで資産形成に成功しています。
多額の資金がなくても今すぐ始められるので、まずは月々1万円から投資信託の積立を始めてみても十分でしょう。大切なのは、継続です。途中で積立の金額を増やしたり、投資対象を多様化させたりするなどの工夫をしながら続けていくと、10年後、20年後には資産形成の効果を大いに実感できるはずです。
ドルコスト平均法についてよくある質問
- ドルコスト平均法とは何ですか?
- ドルコスト平均法と定量購入法は違いますか?
- ドルコスト平均法のメリットは何ですか?
- ドルコスト平均法のデメリットは何ですか?
- ドルコスト平均法で運用する商品はどうやって選べばよいですか?
- 毎月の金額設定はどう決めたらよいですか?
- ドルコスト平均法とバリュー平均法の違いを教えてください
ドルコスト平均法とは何ですか?
毎月など一定の期間ごとに一定額分ずつ積立投資をすることで購入価格を平均化し、価格変動のリスクを抑える手法のことです。
ドルコスト平均法と呼ばれるようになった語源については諸説ありますが、1940年代にアメリカで考案され、多くの人が実践していたことに由来しているといわれています。なお、イギリスでも同様の方法が推奨され、日本語に訳すと「ポンドコスト平均法」と呼ばれる手法があります。
ドルコスト平均法と定量購入法は違いますか?
ドルコスト平均法は定額購入法なので「○円分」というように金額ベースで購入量を決めます。それに対して定量購入法は価格に関係なく購入する数量を決めます。
ドルコスト平均法(定額購入法)の場合、価格の変動に応じて購入量が変わるため継続すると購入価格を平均化していく効果がありますが、定量購入法の場合は価格変動に応じて投資額が変動するため、平均化の効果はありません。
ドルコスト平均法のメリットは何ですか?
投資対象となる金融商品には価格変動のリスクがあります。異なるタイミング、異なる価格で買い続けることによって購入価格が平均化され、最大のリスクとも言える価格変動による損失のリスクを抑える効果があります。
また、ドルコスト平均法を実践するには積立投資が前提になるため、一度に多額の資金を用意しなくてもすぐに始められることもメリットと言えるでしょう。
価格変動による利益を前提としていないため、いつでも始めたいときに始められることも魅力の1つです。
ドルコスト平均法のデメリットは何ですか?
価格変動のリスクを抑える効果がある一方で、価格変動を利用した大きな利益を狙いにくいのはドルコスト平均法の本質的なデメリットです。
また、ドルコスト平均法は価格変動があっても上がったり、下がったりする性質の金融資産に対して有効です。一方的に上がり続けたり、下がり続けたりするような値動きの金融資産には不向きです。
メリットが多いドルコスト平均法ですが、決して万能ではないということを押さえておけば問題ないでしょう。
ドルコスト平均法で運用する商品はどうやって選べばよいですか?
ドルコスト平均法そのものがリスクを抑えるための手法なので、もとよりハイリスクの商品よりもある程度リスクを抑えている金融商品が適しています。
現物株や暗号資産などハイリスク・ハイリターンの投資でドルコスト平均法を実践しても、一方的な値動きになってしまってメリットを実感できない可能性があります。
それよりもインデックス型の投資信託のように、1本の商品を購入するだけで市場全体に投資したのと同じ効果が得られるようなリスク分散型商品のほうが適しています。
毎月の金額設定はどう決めたらよいですか?
毎月の収入から無理のない範囲であれば、多ければ多いほど投資の効果は大きくなります。1つの目安として使えるのがつみたてNISAの非課税枠です。
つみたてNISAの非課税枠は年間40万円までなので、12で割ると3万3,333円になります。この金額を目安に毎月積立投資をしていけば、少なくともつみたてNISAが適用される20年間は無税で投資の利益を得ることができます。
重要なのは続けることなので、張り切り過ぎて続けるのが難しいような金額を設定する必要はありません。無理なく続けられる金額を設定して、しっかりと継続することを優先しましょう。
ドルコスト平均法とバリュー平均法の違いを教えてください
ドルコスト平均法は価格変動リスクを抑えながら、長期目線で資産形成をしていく手法です。どんな金融商品にも価格変動があるため、それを受け入れつつ価格変動のリスクを少しでも軽減するための手法なので、価格変動をリスクとして捉えています。
一方、バリュー投資は現在割安感のある金融商品を割安のうちに購入し、本来の価格に戻ったときに値上がり益を狙う投資です。特に株式投資では多くの投資家が実践している手法で、ドルコスト平均法とは逆に価格変動を利益のチャンスとして捉えています。
しかし、バリュー投資で価格変動をチャンスとして捉えているとはいっても、その思惑が外れて価格が逆行してしまい、損失を被ることもあります。価格変動は狙おうとしても避けようとしても必ずやってくるものであり、そのリスク管理は欠かせないということです。
バリュー投資で資産を増やすには勝ち続ける必要がありますが、ドルコスト平均法は最初から勝負を挑まないので、初心者がまず取り組むべきなのはドルコスト平均法だと言えます。
※本記事で記載の情報は、個別に記載のない限り、2022年1月25日時点でのものになります。証券会社等の口座開設やキャンペーン利用の際には、各社公式ホームぺージの最新情報をご確認ください。
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