「ひとりひとりの顧客を大事に」ファンマーケティングの注力で数々の新施策

有限会社河内菌本舗
執行役員 山元 文晴 氏

有限会社河内菌本舗   https://www.kawauchi.co.jp
所在地:鹿児島県霧島市溝辺町麓876番地15

 九州唯一の種麹屋・鹿児島老舗の河内菌本舗。麹研究は120年にのぼり、現在では「麹を広めたい」という気持ちで食用のみならず化粧品や美容としても麹を取り入れている。

「麹をもっと知ってもらいたい」

 河内菌本舗が2022年から取り組んでいる「ファンマーケティング」は、当講座にも登壇したクオン株式会社から学んでいる。
 始めたきっかけは、「新型コロナで客数が減少したこと」そして、「WEBの限界(大手には敵わない)と感じたこと」だという。

「弊社が取り扱っている“麹”は特殊な商品。一般の人に広く受ける商品を作っているわけではない。そこで、まずは『発酵に興味あるけれど、あまりよく知らない人に発酵のこと、麹のことをもっと知ってもらいたい』と思いました」

 そういった中で、「体感してもらいたい」「もっとコアなファンを増やしたい」「身近に体験してもらいたい」「発酵はもっと気軽で良い」という思いに。

 ファンマーケティングに繋がる、様々な取り組みを始めた。

常にワクワクを!地元密着の新イベントも

「“うちの店から買いたい”と思ってもらえるよう、マルシェやみそ玉づくりなど、一緒に体験できるようなイベントを実施しています。地元密着で、人と人との繋がりを大事にしています」

 実際、開催したマルシェは、地元の繋がりを中心にしながらも、口コミで来てくれた人の姿も見られ「楽しかったよ」「もっとファンになりました」など好評だったという。

「新型コロナで遊びに行くところが減ったこともあり、大人も子供も楽しめる場が欲しいという声がありました。同じ物ばかりではつまらないと思うので、ワクワクしながら新しいものを試す場にしていきたいです」

「コアなファンづくり」にも注力

 すでに麹に興味がある人や好きな人に向けても色々な施策を実施する中で、取り組んでいるのが「公式LINE」。
 ここでは、通信販売部が考案した「麴を使ったメニュー」を展開。2週間に一度は新しいレシピを投稿しているという。


「一部の社員らが率先してレシピを考えてくれています。強制しているわけではないのですが楽しくやってくれているようです!」

 他にも、LINEショップでしか買うことが出来ない限定商品を取り扱ったり、LINEでお客さんと会話することで、アクティブユーザー1600人とは定期的にコミュニケーションがとれているという。

「意外と機能していますね。お客さんからは『商品の在庫はまだありますか?』『定期商品を止めたい』などと商品に関するメッセージや、レシピに対して『ここで塩麹を使う理由は何ですか?』『このアレンジどうですか?』などという質問も届いています」

 また、2023年2月からは、実店舗や通販を利用したことがあるリピーター顧客向けに『ウェビナ―配信』を実施。「商品の開発秘話」や「麹食べたあとの腸内フローラのお話し」、「アレルギー」お話し等、日々の健康に役立つ話をしているという。

「毎回130名程度。全国の顧客18000人のうちの1%が受講してくれています。正直、何もしなければ、年に20%のお客さんが減ってしまう現状があるので、定期的な関わりを持つことが重要だと実感しています。アンケートでは90%以上が満足という回答をしてくださっています」

 ここまで色々取り組む河内菌本舗だが、実は「最初からファンマーケティングをしよう」と思っていたわけではなかったと話す。
 思い浮かべる今後の展望とは―

「これまで色々やってきた中で効果があったのがファンマーケティングだった。どうお客さんに喜んでもらうか、選んでもらえるかを考え、ひとりひとりを大事にしていく。当たり前といえば当たり前ですが、今後もお客さんの求めに答えられるようにしていきたいです」

「その上で、麹の力を日本・世界中に教えていきたい。その中で僕らがパイオニアでありたいです。そして、麹を買いたいと思った時に“河内源一郎商店で買おう”、と思い浮かべてもらいたい。そうなった時がファンマーケティングの成功だと思っています」

 なお、チバテレ「稼ぐ力養成講座」については、「マーケティングの面で参考にしている。若い人も多く、知識を得る場だと思っています。会社が鹿児島なので情報が入ってくるのが遅いので、講座を活用して情報収集の場にしたい。それがセミナーの使い方です」と話した。

Pickupインタビュー

Copyright © Chiba Television broadcasting Corp All Rights Reserved.