プレスリリースの発信で 売上1000万円から億単位へ 「講座きっかけで一皮むけた」

たつみ工業株式会社
代表取締役 岩根 弘幸 氏(写真)
PRディレクター 古賀 亜理沙 氏

たつみ工業株式会社   https://tatumikougyou.co.jp/
所在地:神奈川県川崎市幸区小倉4-1-13

 業務用プレハブ冷蔵庫の製造・組立・施工を展開する断熱パネルメーカーのたつみ工業。そのシェアは、首都圏のコンビニ冷蔵庫で約80%、中でもセブンイレブンでは100%を誇る。

講座の縁から「PR」強化へ

岩根 氏
「PRを強化したいと思ったのは、2023年7月に竣工する“千葉県木更津市の新しい工場をプロモーションしたい”というのが目的でした。そこで千葉テレビ放送 総合プロデューサー・大林氏に相談したところ、講師として登壇した平川雅之氏のコンサルティング『戦略広報PR』を紹介頂きました」

 PRに取り組む前の2021年11月には“広報”が必要だとして広報の専属の社員を採用。
 現在は岩根氏、そして広報専属の社員・古賀氏の2人が勉強のために講座を受講しているという。

岩根 氏
「これまで製造業は良いものをつくれば誰かが見つけてくれると思っていた一方、最近は発信が必要、商品を世の中にどんどん知ってもらいたいと思っていました。広報専属の社員採用は正直社内から反対意見が出ましたが、これからはPRが必要だと押し切りました。まだまだPRに関してのスキルは高くない状況なので、勉強のために講座を受講しています」

業績を変えた、初めてのプレスリリース

 戦略広報PRコンサルティングの中でまず教わったのは「プレスリリースの書き方・発信の仕方」について。

古賀 氏
「“社会性のあるネタ”が大事と平川さんからのアドバイスを受け、取り上げたのは受注が少し増え始めていた 遺体を安置する冷蔵庫『=遺体安置庫』についてです。『コロナ禍で火葬場の能力が上がらない状況で、遺体安置庫のニーズが増えている』というプレスリリースを作成しました」

 これは、通常2~3日で出来る火葬が、新型コロナウイルスの流行で順番待ちの現象が発生。亡くなった人が多くなるほどそうした時に遺体を安置する冷蔵庫が必要となる、という内容。

 BSイレブンやNHK、雑誌等から問い合わせがあり、思っていた以上の反響となったという。

岩根 氏
「講座で一皮むけたと感じます。外の世界に触れていなかったので。露出が増えていることは間違いないですし、予想外に広がっている感じ、楽しいです!お客さんが増えたこともメリットです」

「また、問い合わせもありましたが、中でも反響があったのは葬儀業界向けの展示会「ヒューネラルビジネスフェア」出展のお話しがきたことです。棺桶や祭壇などが並ぶ中での遺体安置庫は今までにないと目立ち、それがきっかけで全国の葬儀屋さんからの受注に繋がりました」

 近年葬儀のスタイルが変わり、葬式をせず直接火葬場に行く人が増加。その分、式場自体に遺体安置庫を置くスペースが増えたことも受注に繋がったポイントのひとつだと話す。

岩根 氏
「元々遺体安置庫は製造していましたが、葬儀業界に需要があることを知りませんでした。式場によって遺体安置庫の形を変えて製造できることも受注に繋がる大きなポイントだったと思います。天井が低かったり、狭かったりと式場によって様々ですが、弊社はオーダーメイドで製造可能ですので、そこは他社が真似できない部分。元々我々がコンビニの冷蔵庫製造で培った技術や経験が、遺体安置庫という特殊なマーケットにハマったのだと思います」

 プレスリリースを初めて出したのが2022年2月。展示会に出展したのが2022年6月。1年経っていないのに「遺体安置庫」事業が急速に成長をみせた。

 これは、売上にも顕著に表れていて、これまで遺体安置庫の売上は1000万ほど(全体の1割未満)だったが、2023年度の売上は現時点で1億円以上(全体の2割)に。
 今ではコンビニビジネスの次の柱にしようというほど非常に伸びているビジネスだという。


岩根 氏
「業務用のプレハブ冷凍庫製造で62年目を迎えますが、受注を増やすためにはプロモーションというよりも営業強化が多かったです。また、大手がやる広報戦略やプロモーションは予算があるわけでもないし手の届かないところがあると思っていましたが、やりようによっては中小企業でも十分プロモーションができるということを学びました」

「人脈も知識も売り上げも実際にあがり、効果が出ているので講座を受けていなかったらここまで来ていなかったのではないかと感じます。ただ、あくまでも本番は新工場建設のPR。練習で培った成果を出せたらいいなと思います」

古賀 氏
「リリースの出し方も学びましたが、配信の仕方も教えてもらえたので、定期的に自分でもネタを探して配信するようになったので、結果的に告知力が高まった気がします。ただ、1度講座を受けたからといって上手くいくとは思わないので、勉強しながら成長していけたらと思います」

岩根 氏
「古賀は広報畑ではないですが、プレスリリースを作成し、取材対応まできちんとやってくれています。最初は反対もありましたが、採用して良かったと思っています。今は全員そう思っていると思いますね」

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