千葉地裁 国の責任認めず

 東京電力福島第1原発事故で福島県から千葉県内に自主避難した住民が国と東電に約2億4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、千葉地裁は14日、国の責任を認めず東電だけに賠償を命じる判決を言い渡しました。

 この裁判は、原発事故後福島県の避難指示区域外から県内に自主避難した6世帯19人が、精神的苦痛やふるさとを喪失したなどとして国と東電に計約2億4千万円の損害賠償を求めたものです。

14日の判決公判で、千葉地裁の高瀬順久裁判長は「国は10メートルを超える津波の到来を予見できた」と指摘しましたが、津波より地震の対策を優先させた国の判断は不合理とは言えず東日本大震災までに津波対策を取ることはできなかったとして、国の違法性を否定し請求を退けました。

一方、東電に対しては、「健康被害が生じるリスクを全く否定することはできず、放射線被ばくへの恐怖や不安を感じて避難することも合理性がないとはいえない」として原告の主張を一部認め、19人中9人に計約508万円の支払いを命じました。

原告側

「とても残念な結果」「国の責任だけはなんとか認めてほしかったがそれもだめでしたね」

「言葉もありません」「1陣の判決よりもひどいと感じました」

なお、国と東電を相手取った裁判での判決は今回が7件目で、このうち国の責任を否定したのはおととしの千葉地裁の判決に続き2件目となります。

今回の判決について東京電力ホールディングスは「原発事故により広く社会の皆さまに大変なご迷惑とご心配をお掛けしていることを改めて心からお詫び申し上げる。千葉地裁で言い渡された判決については、内容を精査し、対応を検討していく」とコメントしています。