株式会社柏斎苑
小林 裕応

2012年日本大学卒、株式会社柏斎苑入社。2016年株式会社柏斎苑取締役就任。2016年一級葬祭ディレクター資格取得。2021年一般社団法人こもれびの和設立。2022年株式会社柏斎苑代表取締役就任。2023年柏ライオンズクラブ会長拝命。

「さよなら」を「ありがとう」に変える会社

株式会社柏斎苑は、千葉県柏市を中心に、葬祭業や身元保証事業をはじめとしたライフエンディングサポートに特化した事業を多角的に展開している。

この会社の最大の特徴はなんといっても「人」だ、と小林代表は語る。

「人と人とのつながりをもって、ご利用者の「さよなら」を「ありがとう」に変えていきたい。そのために、社員一人ひとりの長所を磨き上げています。 特に葬祭事業部では、Googleレビューやお客様アンケートでも高い平均点を誇っています。その理由はまさに人が創りだす「親切さ」や「迅速さ」であり、当社の最大の特徴です。」

また生活支援サービス、高齢者の施設紹介、空き家の買取再販、霊園事業など、ライフイベントにまつわる事業を多数展開。葬儀会社の枠に留まらず、遺族会を通じて地域の方の終活をワンストップで支えている企業だ。

「社員の笑顔を守りたい」二代目の覚悟と戦略

柏市は、創業者である小林代表の父が学生時代から過ごしている街だ。株式会社柏斎苑は創業当時の「地元に貢献できる場所で事業がしたい」という想いを今も変わらず大切にしている。それは、育ててもらった地に事業を通じて恩返しをするという父の意志が原点にあるからだ。

代表取締役を父から受け継ぎ、登記簿に載る自分の名前を見た小林代表。そのときに浮かんだのは、柏斎苑を父とともに支えてくれていた社員の笑顔だった。そして同時に「社員みんなの笑顔をどのように守ったらよいのか」という恐怖を感じたという。
そこで、経営者としての勉強をゼロから始めなければならないと覚悟した小林代表は、1年間のビジネススクールを通じて徹底的に自分を変え、後継経営者としての心の在り方を修得した。

そして、代表に就任してまず着手したことは葬儀事業に関わる周辺事業の展開だった。霊園事業、高齢者施設紹介事業、空き家の買取再販事業を展開し、葬儀事業の依存からの脱却を図ったのである。また社外研修や社内の学習ツールを手厚くすることで、社員全員の人間的な成長につながるような学びの環境を構築するなど人財育成にも力を注いだ。

そして、コロナ禍はなんといっても大きな転換期だったと小林代表は語る。葬祭事業は人の集まりがサービスの前提として存在している。世界規模で人の集まりが生み出せなかった状況で、株式会社柏斎苑は大打撃を受けた。
だが小林代表は屈しなかった。少人数化された葬儀では、人員配置も余剰がうまれ、社員の輝ける場所づくりが急務だった。そこで地域のお客様の深層までサービスを届けていく方針に切り替え、そこに「人」を投資していくことに決めたのである。「コロナ禍で感じたことは「制約をかけると変革が生まれる」ということ。あの災難があったおかげで、新規事業(身元保証、老人ホーム紹介、空き家買取再販)を3つ展開でき、既存顧客に対するシナジー効果を生み出せることができたのです。 」そう語る小林代表の声には、約60名もの社員を守る覚悟があった。

理念は必ず行動に。柏斎苑の「見える化」戦略とは

株式会社柏斎苑において最も大切にしていることは「理念経営」だ。
なぜ重要なのか。それは自社がどのような価値観を大切にし、事業を進めているのかという認識を共有する日々があってこそ、自らを信じ行動に変えていけるという確固たる意志を持っているからだ。

ただ、その理念は社員の人格を高めるためのものでなければ淘汰されてしまう、と小林代表は語る。
だからこそ株式会社柏斎苑は「ありがとう」を送り合う姿勢を大切にしている。さらに、その姿勢がわかる行動をアプリを通じて見える化したり、毎月の社内表彰で共有したりすることで理念を社内全体に浸透させる仕組みを構築しているのだ。

「それなり」から「なくてはならない」存在へ

今最も注力していることは、空き家の有効活用と遺族会支援事業だと、小林代表は語る。

空き家の増加が社会問題として懸念されている昨今、不動産の所有者変更の手続きも義務化され、近年は社会的な解決に向け取り組みが加速している傾向にある。また同時に核家族化が進み、子が別世帯を持つという時代の流れも顕著に感じているのだという。
そこで、お客様の両親が残した自宅をリノベーションし、空き家だった場所に新しい住民を招くことで、地域に活気をもたらしていく。今後はこの空き家の買取再販事業を第二の主力事業として注力していくつもりだ。

またこの核家族化は、遺された高齢者のコミュニティ形成にも強く影響している。「家族が遠方に住んでいるなどの理由で、誰とも会話しないまま1日が終わってしまうこともあると伺っております。」と小林代表は神妙な面持ちでことばを紡ぐ。
そこで、同じ悩みや苦しみを抱える方々のコミュニティ形成の一助になるべく「遺族談話会 こもれびの会」を継続的に開催。このように、株式会社柏斎苑はグリーフケアについての体系的理解や実学の習得を優先的な課題に据えているのだ。

そして小林代表が事業を展開するうえで、中心に掲げている考え方が「柏のソーシャルグッドカンパニーになろう」というビジョンである。
創業より25年の月日が流れた株式会社柏斎苑。「ありがたいことに、おかげさまでそれなりの経営規模にまで成長できました。しかし、今後10年をかけてこの「それなり」から脱却し「なくてはならない」企業へと事業価値を高めなければならないと強く感じています。サービス品質・雇用を通じて、私はビジョンを具現化していくつもりです。」そしてそのためには、AIやデジタル経済においても主導権の持てる人財育成こそが至上命題なのだ、と小林代表は熱く語った。

創業より培ってきた変化を歓迎する社風を基礎に、一人でも多くの自己成長を通じて、これからも質の高い安定成長を続けていく。

株式会社柏斎苑

本社所在地
千葉県柏市名⼾ヶ⾕ 1-6-19
設 立
1998年12月16日
資本金
2,000万円
事業内容
ライフエンディングサポート業・葬祭業・身元保証事業・霊園事業・不動産事業・高齢者施設紹介事業・遺族会支援事業を展開し、地域の高齢者における困りごとを解決することを事業の中心としている。
企業URL
https://www.kashiwasaien.com/
代表者
小林 裕応