
1992年生まれ、千葉県出身。市川工業高校建築科卒業後、建築・通信関連企業で経験を積み、第一種電気工事士や消防設備士甲種4類などを独学で取得。2024年に株式会社SAHエレテクティカルワークスを設立し、法人向けに電気・消防・空調・防犯・通信設備工事などを提供している。
https://sahinc.co.jp/“真摯さ”を追求する会社
壁の中や天井の裏側を通り抜ける無数の電線。それは目に見えないけれど、まさに暮らしを支える大動脈だ。ビルが建つたび、家が生まれるたび、その内部では数え切れないほどの配線作業が緻密に行われている。建物が完成したときには既に見えなくなるが、その見えない場所にこそ、電気設備工事の技術と信念が込められている。
ヘルメットと安全靴を身につけ、静かな真剣さで仕事に向き合う。彼らが扱う配線や機器一つひとつに、専門的な知識と高度な技術が必要とされる。誤りが許されない緊張感の中で作業を行う職人たちの姿には、職人魂とも言える誇りと責任感がある。
電気設備工事は、ただ電気を通すだけではない。防犯や通信設備、空調や消防設備といった私たちの安心や快適さを支えるさまざまな仕組みもまた、彼らの手によって実現されているのだ。つまり彼らの仕事は、暮らしの快適さや安全性そのものを設計し、支えているといっても過言ではない。こうした仕事に必要なのは、技術力だけでなく誠実さも然りであり、また安全への徹底したこだわりでもある。電気が持つ危険性を熟知し、常に最高の品質と安全性を追求する姿勢こそが、信頼につながる。
株式会社SAHエレテクティカルワークスは2024年4月に千葉県市川市に設立された新進気鋭の電気設備会社だ。「Security and Honest Electrical Works」つまり「安全で誠実な電気工事」を理念に掲げ、高品質な電気・消防・空調・防犯・通信設備工事を提供している。代表取締役を務める高杉旭は、企業理念である「天の時、地の利、人の和」を胸に、企業としての真摯さを追求している。

驚異的な成長スピード
学生時代は自由奔放で、勉強には縁遠い青年だったと話す高杉。しかしある日、真摯に人々のために尽力する現在の妻と出会い、人生が一変したという。「自分も世のため人のために本気で生きなければならない、直感でそう思いました」そう語る高杉は奮起し、電気設備工事の世界に身を投じる。そこからの高杉の熱量は凄まじく、独学で第一種電気工事士と消防設備士甲種4類という難関資格を取得、なんとその勢いで自らの会社を立ち上げた。
もちろん猪突猛進的に会社を作ったわけではない。高杉はある人物に出会ったからこそ、SAHエレテクティカルワークスという船が必要だと判断したのだ。
1人は、多田大輝。つねに冷静沈着で、仕事の完成度も高杉を唸らせるほどに完璧な男だ。すでにSAHエレテクティカルワークスで役員を担っており、クライアントからも絶大な信用を勝ち得ている。そしてもう1人は、三田村健太。オールラウンドプレイヤーとして、どんな現場であっても任務遂行能力がケタ外れに高く、その実力と人柄ゆえに社員からの信頼も厚い人物である。
そんな2人の力を得た高杉は、SAHエレテクティカルワークスとして現場で培った技術力を自ら体現し、時には深夜の現場にも駆けつける。ある夜は池袋へ向かい大規模店舗の工事を終え、翌日は渋谷の店舗へと移動するという強行スケジュールを平然とこなす姿は、SAHエレテクティカルワークスの情熱と責任感を端的に物語るエピソードだ。そして現在は法人向けに特化した施工を得意としており、大手チェーン店や一部上場企業を顧客とすることで、2024年創業にもかかわらず、業界内でも異例の速度で成長を遂げている。彼が単なる経営者ではないのは、火を見るより明らかだ。

エレ「テ」クティカル
現在、高杉は社員や役員と共に資格取得に注力し、企業の競争力を高めることを使命としている。彼の経営哲学には儒学が強く影響している。「地の利は人の和に如かず」、つまり土地の利便性や市場の有利性も重要だが、人の結束や和には及ばないという理念だ。この言葉は彼の父親から伝えられたものであるが、すでに高杉自身のことばとして、SAHエレテクティカルワークスの経営の根幹を成している。
会社としてのこだわりも明確だ。社名の「テ」には、人の手を加えるという意味が込められている。機械化やAIの普及が進む現代において、人の手による丁寧な仕事にこだわり、顧客目線でのサービス提供を徹底していることを示している。「お客様が、ああここまでやってくれるのか、と喜んでいただけるような仕事がつねにできるように、目の前の仕事に毎日、真摯に向き合い続けなければならないと思っています。そのためには人の手が必ず必要ですから」
とはいえ課題も少なくない。建設業界における若手人材不足や、労働環境の改善。問題意識を明確に持っているからこそ、社員に対しては他社を凌ぐ報酬と福利厚生を用意し、根本から働き方改革を強く推進している。「よく働き、よく遊び、よく学び、よく休む」というSAHエレテクティカルワークスの社是が、その理念を象徴する。

これからもまっすぐに
若者へのメッセージとして高杉が特に強調するのは、目標の明確さの重要性だ。「一生懸命、正しい努力をすれば、必ず実を結ぶものじゃないですか。ただし、受験や資格取得そのものがゴールになってしまうと、その後に向き合わなければならない本当の学びを吸収できないと思うんです。何のためにそれを達成したいのか、その後のビジョンを具体的に描いて初めて、本気で頑張れるし、頑張った甲斐があると心の底から感じると思うんです」そう語る高杉の言葉には、やけどしそうな熱量がある。
SAHエレテクティカルワークスは今後、関西圏やさらなる全国展開を視野に入れており、産業廃棄物収集運搬業への参入も計画しているという。そして宅地建物取引士の資格を取り、リノベーションや出張医療サービスにも挑戦することで、社会貢献の幅を広げるつもりだ。まさに挑戦の人、行動の人という表現が彼にピッタリと当てはまる。
高杉旭という人物の魅力は「一途さ」に尽きる。人生を劇的に変えた愛する人との出会いをきっかけに、まっすぐに突き進む彼のその姿勢は、周囲を巻き込み、大きなエネルギーを生んでいる。彼のこれからの歩みに期待が寄せられる所以である。
