大成ファインケミカル

株式会社
稲生 豊人

1984年4月、大成化工株式会社入社、化成品事業部営業部を担当。1996年6月、取締役支援本部長 兼 新商品開発事業部 部長。2004年4月、大成ファインケミカル株式会社専務取締役に就任。2008年、同社代表取締役社長。現在、大成ホールディングス株式会社専務取締役および大成化工株式会社代表取締役社長を兼務。

大正時代から存在する旭市の老舗化学企業

千葉県旭市にある大成ファインケミカル株式会社は、工業用塗料・インキ・電材・化粧品用途のアクリル樹脂の合成、および景観舗装のコーティング剤や衛生環境商品の企画・開発・製造を行っている。

東京都葛飾区に本社を構える親会社の大成ホールディングス株式会社が展開しているケミカル分野のうち、樹脂事業・機能製品事業を担当。お客様の構築されるサプライチェーンの中で対応部門を選定し、中間原料設計や加工、製品化、商品化とお客様のご要求に合わせて提供することが可能だ。

またグループ会社には、顔料の分散加工やコーティング剤の設計・製造部門を担当している大成化工株式会社が成田市にある。グループ全体の技術を融合して製品・商品の企画開発を進めており、どの部門もお客様の多様なニーズに合わせながら、高品質・高機能のモノづくりに日々挑戦している。

会社単体としては設立20周年、グループ全体としては100周年を迎える老舗化学企業・大成ファインケミカル株式会社。稲生代表に話を伺ってみた。

時代の波を幾度となく乗り越えてきた過去

1914年(大正3年)に創業した大成ホールディングス株式会社から、2004年に樹脂事業を継承するかたちで分社化し、千葉県旭市に本社と工場を、東京都葛飾区に営業所と研究所を置いて活動してきた大成ファインケミカル株式会社。その後、2016年にグループ会社の景観舗装材および防虫商品を販売する機能商品事業を統合し、現在は2拠点・2事業で活動している。

堅実な経営を大切にしているという稲生代表。次々に押し寄せてくる時代の波に、社員一同で力を合わせて幾度となく乗り越えてきたと語る。

「売上を多く占める樹脂事業では、原油価格の急騰により採算がとれなくなりそうな時期が多々ありました。そこで事業領域を安価な塗料の受託品製造からインキや電材の領域に変更し、それに対応できる品質や機能性の開発の向上を目指しました。つまり市場価値から見た価格設定で利益率を変えるようにしたんです。

またリーマンショックによって売上が半減した時期もありましたが、そこで浮き彫りになった課題は自己資本・自己資金の安定化でした。そこで、他の樹脂メーカーが対応しないニッチな市場での少量多品種・高品質・高機能のご要望に、技術・生産体制を強化しレスポンスよく製品化いたしました。同時に、売掛の回収期間を短縮させて頂き借入を返済しました。結果、開発投資やリスクへの対応として利益を蓄えることができたのです。このような経験を通して、企業の利益率向上や生産性・安定性を生み出すには、価値の創造とお客様への提供の結果について考え続ける必要があると実感しました。今までのお客様とお取引様のおかげで今の大成ファインケミカルがあるんです。」と稲生代表は語った。

「品質No.1&機能性Only1」を目指して進めている改革とは

現在アクリル樹脂「アクリット」を提供している樹脂事業部では、市場の変化により既存市場が落ち込んでくると予測し、あらたな領域へ投資を進めようとしている。特に電材領域へ提供する特殊樹脂の試作から製造までの受託開発や、環境対応への独自技術の開発を進めている。

また機能商品事業部では「景観・環境」改善事業と位置づけ、デザイン舗装や競技場向けの水性塗料、食品工場の安全衛生対策商品「オプトロンシリーズ」の開発・販売で、国内市場シェアNo.1を目指している。

これまでの100年、これからの100年

お客様への貢献を増やし、収益改善と自己資本の高い安定企業を目指し続けた大成ファインケミカル株式会社。価値観が急激に変化しビジネスとして顕在化されてゆく昨今、今後は差別化をさらに強化しつつ、社員が健康に過ごせる、生産性と成長性の高い会社にするという。

「大成ホールディングスグループとしてまもなく100年、当社としては20年になります。堅実な経営の中で、目下売上50億円を中期目標として進めています。過去の先人の歴史を背負って、グループの次の100年に貢献していく所存です。」そう語る稲生代表の目には、変わりなく千葉を支え続けている1世紀先の大成ファインケミカル株式会社の姿があった。

大成ファインケミカル

株式会社

本社所在地
千葉県旭市鎌数9163番地19
設 立
2004年1月15日
資本金
4000万円
事業内容
大正3年創業の大成ホールディングス㈱より2004年に樹脂事業を継承して分社し千葉県旭市に本社・工場、東京都葛飾区に営業所・研究所を置いて活動。工業材料アクリル樹脂および機能商品(景観舗装材・食品工場用防虫対策)の開発・製造・販売を行う。お客様の夢を実現するベストパートナーを目指す。
企業URL
https://www.taisei-fc.co.jp/
代表者
稲生 豊人