学校法人SEiRYO学園
いぬかい良成

ミュージシャン、モデル、建築デザイナーなどを経て、2010年4月、学校法人SEiRYO学園の理事長に就任。著書:「子どもは悪い子に育てなさい」サンクチュアリ出版。掲載本:「食べることは生きること」 / 「いい会社には活きた社内制度がある〜人を大切にする56社の法定外福利厚生」など。

世界22カ国 / 数百の学校視察から得た教育方針を千葉に

学校法人SEiRYO学園は千葉県船橋市に本部を置き、本校の「アトリエバレーナ幼稚園(習志野台幼稚園)」をはじめ、千葉・東京に認可保育所や学童保育所・オルタナティブスクールなども運営しており、全部で10校存在する。子どもたちにとって本当に必要な教育とは何か、さまざまな角度から考察して学園のメソッドに導入しているという。

理事長の「いぬかい良成」氏に、SEiRYO学園の特色、そして今後のあるべき教育の姿について聞いてみた。

学校法人SEiRYO学園は、1966年に当時医師だった理事長の祖父「犬飼 正」が習志野台幼稚園(現アトリエバレーナ幼稚園)を創立したことからその歩みがはじまる。その後はオーストラリアや船橋市・習志野市を中心に保育所を立ち上げ、現在は千葉県内に9つ、東京都に1つの教育関連施設を運営している。

いぬかい理事長はミュージシャンからモデル、建築デザイナーなどと言った様々な経験の中でリソースを積み、2010年4月に3代目の理事長として就任。現在SEiRYO学園に取り入れている「3つのミライエ」という教育方針は、理事長が現在に至るまでに訪れた、世界各所の特色ある教育から影響を受けていると言う。

「例えばイタリアにはレッジョ・エミリア教育という私が最も影響を受けた教育方法があります。2011年にも東京の美術館で展示会が行われましたが、イタリア北部にある小規模都市レッジョ・エミリア市が発祥の地なんですが、そこでは子どもたちがアートや自然を通して主体的に活動し、それぞれの個性を引き出すことを大切にした教育アプローチがあります。

実際に訪れて「大人が子ども一人ひとりに寄り添い、自立心や創造性の溢れる個性が育まれている」光景を見た私は 『素晴らしい!』と強く思い、すぐに「ミライエ」の1つとして探求〜実践へ取り組みました」といぬかい理事長は語る。

子どもたちの将来のための「3つのミライエ」

学校法人SEiRYO学園は「3つのミライエ」を掲げている。「ミライエ」とは「子ども達の未来の家」のような存在で在りたい。といった想いや「未来の絵」を指しており、子どもたちの将来を見据えて様々なことに取り組んでいる。

1つ目は「イマージョン英語教育」
学校法人SEiRYO学園では、船橋市東部の北習志野駅周辺を拠点に幼稚園や保育所、民間学童保育、小学生向けのバイリンガル教室、そして2024年4月からはオルタナティブスクール「Toy-A」をオープンさせた。さらに千葉県習志野市や東京都大田区にも保育所があり、外国人の直接雇用を積極的に行い、帰国子女の保育士や幼稚園教諭、また海外(主に欧州など)からのインターン生なども積極的に受け入れている。

2つ目は「レッジョ・エミリア・アプローチ」
世界で認められているイタリアの実践教育の一つでもあるこの教育方針は、学園内の独自のCPC(Children’s Playtime Creators)という資格制度=アトリエリスタ(レッジョ専門講師)を育て各園に配属し、子どもたちや保育士へのカリキュラムや指導を行っている。ここでは子どもたちの五感を刺激し「無限の才能」と「自己肯定感」を養っている。

3つ目は「オーガニックの玄米和食給食」+「しつけ」の教育
いわゆる日本文化の「礼」と言われるプログラムで、世界で1番と言っても良いほど信頼されている日本人として、素敵な「人間」になって欲しいと願っている。幼児学校(当学園では「乳児保育所」と「幼児学校」と呼んでいる)へつなげていくための未就園児活動に2歳児のピヨピヨクラブや1歳児親子コースのエンジェルクラブ、0歳児の「manaクラブ」など、学園内での取り組みには様々な特徴がある。
幼稚園では「厳選素材での外部給食」やお隣の保育所の栄養士さんと協力し合って、園庭内にある畑から実になった食材を調理したり、学園内のすべての保育所では「オーガニックの玄米和食給食(現在オーガニック認証申請中)」を採用している。子どもたちや先生たちの心と健康、つまり命を育む教育を行っているのだ。

子どもたち自身が地球(ガイア)の持続可能性について考えるために

土地柄もあり保守的といわれる千葉県の教育業界において、革新的な幼児教育を続けているいぬかい理事長は、3年前から従来の教育方法と全く異なる「おしえない学校」というコンセプトに基づいた新しいプロジェクトを推進しているという。

それは幼稚園から高校までをカバーする新しい学校を沖縄の北部の森の中に創るという計画だ。

バリやニュージーランド、メキシコ、南アフリカに存在する学校に触発され、この新しい学校の目的は、持続可能な暮らしについて学び、地球と共生する方法を考えることにある(現在交渉中)。

特に、子どもたち自身が地球の持続可能性について考え、行動することに重点が置かれているという。

「このプロジェクトの魅力は「学びを通じて地球を生きる」というコンセプトにあり、このアプローチは伝統的な教育方法よりも、まるでジョン・デューイやペスタロッチ…などの教育哲学の様に「経験」を通して、子ども達が自分たちの未来を考え、地球と共生〜いかに持続可能に暮らしていくのか?を学ぶことにより、より実践的な角度から「学び」を促進することを目指しています。」と語るいぬかい理事長。SEiRYO学園の今後の躍進に期待したい。

学校法人SEiRYO学園

本社所在地
千葉県船橋市習志野台2-59-22
設 立
1966年
資本金
学校法人のためなし
事業内容
合計10つの保育所を運営。ネイティブ講師による英語レッスンやイタリア発祥のアート教育などを柔軟に取り入れ、子どもたちの好奇心や創造力を育む教育を実践している。様々な来園者:ペンキ画家「Shogen」さん / ニュージーランドの教育要領を創った「ウェンディ・リー(Wendy Lee)」さん / デンマークの森のようちえん主宰「リッケ(Rikke Rosengren)」さん / 元日本保育学会会長「汐見稔幸」さん / ニューヨーク子ども美術館「スコット ララビー(Scott Larrabee)」さん…ほか世界から多数の教育関係者が来園している。
企業URL
https://www.narashinodai.ed.jp/
代表者
いぬかい 良成